蓄電池は停電時も使える？使えなくなる原因や選び方を徹底解説

地震や台風などの災害が多い日本では、万が一の停電に備えた電力確保の手段として、蓄電池の導入が推進されています。停電が発生した場合、照明や通信機器、冷蔵庫などの最低限の生活インフラを維持できるかどうかが、蓄電池を活用する上で重要な問題となります。

こうした状況において、太陽光発電と組み合わせた家庭用蓄電池の導入は、有効な対策として注目を集めています。しかし、「停電時に本当に使えるのか」「自宅の電力をどれだけカバーできるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。

この記事では、停電発生時に蓄電池がどのように機能するのかを紹介し、蓄電池が使えなくなる原因や選び方について解説していきます。太陽光発電と併せて蓄電池の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

停電時の蓄電池は使える？

停電時に蓄電池が使用できるかは、設置している蓄電池の機能やシステム構成によって異なります。

多くの家庭用蓄電池には、自立運転機能を備えており、停電時でも特定のコンセントや回路に電力を供給することが可能です。ただし、すべての電気機器を同時に使用できるわけではなく、使用可能な電力容量と接続機器によって制限があります。

太陽光発電と併用している場合、昼間は太陽光で発電した電力を使いながら、余剰分を蓄電池に充電できるため、長時間の停電にも対応しやすくなります。一方で、系統連系のみで自立運転に対応していない蓄電池では、停電時に機能しないケースもあります。

自立運転モードとは

自立運転モードとは、停電が発生した際に蓄電池や太陽光発電システムが電力会社の送電網から切り離され、自立して電力を供給する機能です。

通常、太陽光発電や蓄電池は系統連系により電力会社の電力と接続されていますが、停電時には安全のため自動的に遮断されます。自立運転モードが搭載されている場合、この遮断後に電力を特定の専用コンセントを通じて、家庭内の家電に供給することが可能です。

冷蔵庫やスマートフォンの充電といった最低限の生活機能を維持するために、自立運転モードは非常に有効です。

一部機種では手動での切り替えが必要

自立運転モードを備えた蓄電池の中には、停電が発生した際に自動で切り替わらず、手動での操作が必要な機種もあります。これらの機種では、分電盤付近や蓄電池本体に設置された切り替えスイッチを利用して、使用可能な回路に電力を供給する形式が一般的です。

そのため、停電時に対応するには、操作手順やスイッチの位置を把握しておくことが重要です。夜間や災害時では、スムーズな切り替えが難しくなる場合もあるため、家族全員が使い方を理解しておくようにしましょう。

停電時に蓄電池が使えない原因

自立運転モードがあると蓄電池が活用できますが、以下の原因によって停電時に使えなくなる可能性があります。

• 残量ゼロ・放電設定オフ
• コンセント未接続
• 消費電力が上限を超えている
• 配線・機器の故障や施工不備

それぞれの原因について解説していきます。

残量ゼロ・放電設定オフ

蓄電池が停電時に使用できない原因の一つに、バッテリー残量がゼロになっている、あるいは放電設定がオフになっているというケースがあります。

太陽光発電で蓄えた電力の残量が不足していると、当然ながら電力供給ができません。また、設定により蓄電池の放電が制限されている場合、電力が蓄えられていても出力が行われず、停電時に機能しないという事態が発生します。

節電や長期保護を目的としたモードにしている場合、放電制御が有効になっていることがあります。

コンセント未接続

専用の自立運転用コンセントが未接続だと、蓄電池が使えません。電気機器を専用コンセントに差し込んでいなければ、蓄電池が正常に作動していても電力は供給されません。

特に、普段使っている家庭用コンセントとは別に設けられている場合、停電時にうっかり見落としてしまうこともあります。

そのため、あらかじめ自立運転用コンセントの位置を把握し、緊急時にすぐ接続できるよう準備しておくことが重要です。また、導入後は日常的に接続状況を確認しておくようにしましょう。

消費電力が上限を超えている

停電時に蓄電池が使用できない原因として、接続した電気機器の消費電力が蓄電池の供給上限を超えていることが挙げられます。蓄電池には出力の上限があり、以下のような高出力機器を同時に使用すると、過負荷となって停止してしまいます。

• 電子レンジ
• エアコン
• ドライヤー

こうした状況では、蓄電池が故障していないにもかかわらず電力が供給されず、停電時に使えないと誤解されるケースもあります。停電時に安定して電力を利用するには、使用機器の電力消費量を把握し、優先度の高い機器に限定して接続することが大切です。

配線・機器の故障や施工不備

配線の不具合や施工時の不備があると、停電時に蓄電池が作動しない可能性があります。蓄電池の接続箇所に緩みや断線があると、停電時に電力を供給できなくなるリスクが想定されます。

また、自立運転用の回路が設計・配線されていない場合、蓄電池の機能自体は正常でも家庭内の機器へ電気が届かないケースも見受けられます。さらに、パワーコンディショナの誤設定や劣化が原因で、切り替えが作動しないこともあるため、注意が必要です。

そのため、専門知識を持つ業者による施工と、定期的な点検・メンテナンスが求められます。

停電時に蓄電池を活用するポイント

停電時に蓄電池を活用する際は、以下のポイントが重要です。

• 自立運転用コンセントの出力容量を確認する
• 停電時に使用する家電を決めておく
• 手動切替が必要なタイプは操作手順を把握しておく
• 常時充電状態を確認する

それぞれのポイントについて解説していきます。

自立運転用コンセントの出力容量を確認する

停電時に蓄電池を活用するには、自立運転用コンセントの出力容量を確認しておくことが重要です。一般的には最大1500W程度の出力に制限されるため、必要最低限の機器に絞って使用する必要があります。

出力を超える電気製品を同時に使おうとすると、安全機能が働いて供給が停止する場合もあるため、日常的に使用する機器の消費電力を把握しておくことが大切です。また、どのコンセントが自立運転用に対応しているかを明確にしておくことで、停電時でも対応できます。

停電時に使用する家電を決めておく

停電への備えとして、あらかじめ使用する家電を明確にしておくようにしましょう。蓄電池には限られた電力量しか蓄えられないため、すべての家電を同時に使用することは現実的ではありません。

特に、生活維持に直結する機器を優先的に使用することで、限られた電力を無駄なく配分できます。自立運転モードでは接続可能な回路が制限されるため、どのコンセントでどの機器が使えるかを事前に確認しておくことが大切です。

また、停電が長引く可能性を想定し、必要最低限の使用にとどめるようにしましょう。

手動切替が必要なタイプは操作手順を把握しておく

停電時に蓄電池が確実に使えるようにする対策として、手動で自立運転モードへ切り替える必要がある機種の操作方法を把握しておくことが重要です。手動切替式の蓄電池では、停電発生後にスイッチを操作しなければ電力の供給が始まりません。

災害発生時は照明が使えず、暗所での作業となる可能性もあるため、日頃から操作位置や手順を確認しておくと安心です。また、マニュアルだけでは不安な場合には、設置時に業者へ実演を依頼するのもおすすめです。

使用時に慌てないよう備えることで、非常時における蓄電池の有効性を高められるでしょう。

常時充電状態を確認する

停電時に蓄電池を有効に活用するには、常に充電状態を確認し、必要な電力が確保されているかを把握しておく必要があります。夜間や長時間の停電に備えるには、蓄電池の残量が十分であるかどうかがポイントです。

日常的に使用している場合では、放電が進んでいることもあるため、充電率が低い状態で停電が発生すると、必要な機器を長時間稼働させることが困難になります。また、悪天候が続けば充電効率が下がることがあるため、平常時から残量を確認しておくことが重要です。

蓄電池の選び方

停電時に備えて蓄電池を導入する際は、以下の基準で選ぶようにしましょう。

• 蓄電容量を確認する
• 停電時の電力供給範囲
• 蓄電池の目的

それぞれの選び方について解説していきます。

蓄電容量を確認する

蓄電池を選ぶ際は、家庭の使用状況に見合った蓄電容量を選ぶようにしましょう。

蓄電容量とは、蓄電池がどれだけの電力を蓄えられるかを示す指標であり、停電時に使用できる電力量に直結します。容量が不足していると、照明やスマートフォンの充電といった最低限の設備ですら、長時間稼働させることは困難です。

逆に過剰な容量を選ぶと、設置費用が割高になるだけでなく、使い切れずに無駄が生じる可能性もあります。そのため、定格出力とのバランスも考慮し、安定した電力供給が可能な製品を選ぶと、災害時の安心につながります。

停電時の電力供給範囲

蓄電池を選定する際は、停電時にどの範囲まで電力を供給できるかを確認することが不可欠です。製品によっては、最低限の回路に限定されるものもあれば、住宅全体に電力を供給できる全負荷型に対応したタイプもあります。

医療機器の使用や在宅勤務など、日常生活における電力の必要性が高い家庭では、供給範囲の広さが重要な選定基準となります。全負荷型を導入する場合は、機器の容量だけでなく、分電盤の構造や回路の設計も重要です。

停電時にどの家電を稼働させたいかを明確にした上で、使用目的に合った蓄電池を選ぶようにしましょう。

蓄電池の目的

蓄電池選びにおいては、導入目的を明確にすることが重要です。災害時の停電対策として利用するのか、日常的な電気代の削減を目的とするのかで、適した機種や容量が異なります。

停電対策を重視する場合は、自立運転機能を備えたモデルで、非常時に必要な家電を一定時間稼働できる容量があるものが適しています。一方、電気代の抑制を重視する場合は、電力の使用パターンに応じて深夜電力を活用し、日中に放電できるタイプがおすすめです。

目的を明確にせずに蓄電池を選んでしまうと、機能が合わずに期待した効果が得られないこともあります。そのため、まずは「何のために蓄電池を使いたいのか」を明確にし、それに応じた製品を選ぶことが失敗しないことがポイントです。

太陽光発電と蓄電池を併用するメリット

蓄電池の導入においては、太陽光発電との併用が基本です。太陽光発電と蓄電池を併用することで、以下のメリットがあります。

• 昼夜を通じて電力を確保できる
• エアコンやIH調理器も停電時に使用できる
• 平常時は電気代を節約できる

それぞれのメリットについて解説していきます。

昼夜を通じて電力を確保できる

太陽光発電と蓄電池を併用することで、昼夜を問わず安定した電力供給が可能です。昼間は太陽光発電によって発電された電力を使用し、余剰分を蓄電池に蓄えることで、夜間や天候不良時にも電力を確保できるようになります。

災害や停電など、系統電力が使えない状況でも、昼間に発電して蓄えた電力を夜間に利用することで、生活に不可欠な設備の稼働を維持できます。これにより、災害時でも生活の質を大きく損なうことなく、安全な環境を保つことが可能です。

また、電力会社の電力に依存しない持続可能なライフスタイルを実現できる点でも、併用の価値は非常に高いといえます。

エアコンやIH調理器も停電時に使用できる

太陽光発電と蓄電池の併用では、停電時にもエアコンやIH調理器といった高消費電力の家電を使用できます。大容量の蓄電池を導入すれば、猛暑や寒冷時に欠かせない空調機器や調理器具の稼働も可能です。

太陽光で発電した電力を蓄電池に貯めておくことで、昼夜を問わず必要なタイミングで家電を利用でき、生活の質を損なうことなく災害時を乗り越えられます。

ただし、すべての機器を同時に使用するには、消費電力に見合った蓄電容量が必要です。そのため、導入時には使用したい家電の電力消費を確認し、最適なシステム構成を検討するようにしましょう。

平常時は電気代を節約できる

太陽光発電と蓄電池を併用することで、平常時の電気代を抑えられます。日中に太陽光で発電した電力を家庭で消費し、余剰電力を蓄電池に充電しておけば、発電できない時間帯でも蓄電池から電力を賄うことが可能です。

これにより、電力会社からの購入電力量を抑えられるため、電気料金全体の削減につながります。さらに、電力使用量のピークを避けることで、基本料金の削減も期待できます。

特に電気代が高騰する現代では、家計への長期的なメリットをもたらすでしょう。太陽光と蓄電池の組み合わせは、非常時の備えだけでなく、日常の経済的な恩恵も享受できる点も魅力です。

大阪でおすすめの太陽光発電業者3選

最後に大阪で太陽光発電を導入する際におすすめの業者を3社紹介します。

• 日本電気工事株式会社
• ゴウダ株式会社
• 株式会社日本エコシステム（大阪事業所）

それぞれ豊富な施工実績と信頼できるアフターサポートが特徴です。以下を参考に、自分に合った業者を選びましょう。

日本電気工事株式会社

日本電気工事株式会社は、大阪市中央区に本社を構え、太陽光発電や蓄電池、オール電化設備の設置工事を専門とする施工会社です。

グループ会社を含めた施工実績は3,000棟以上にのぼります。太陽光発電システムや蓄電池、エコキュートなどの住宅設備の設置工事を専門に行い、関西・近畿周辺の工事を承っています。

また、オール電化工事としてエコキュートやIHの設置も多く手掛けており、省エネリフォーム全般に強みを持っています。

ゴウダ株式会社

ゴウダ株式会社は、大阪府茨木市に本社を構える、太陽光発電および蓄電池の導入を支援する施工業者です。

住宅用から企業向けまで幅広いニーズに対応し、関西地域を中心に多数の施工実績を有しています。また、太陽光発電と蓄電池の連携による自家消費型システムの提案を通じて、電力の自給自足の支援を行っています。

さらに、設計から施工、アフターサポートまで一貫しており、補助金申請の代行や定期点検など、導入後のサポート体制も充実しています。

株式会社日本エコシステム（大阪事業所）

株式会社日本エコシステム（大阪事業所）は、太陽光発電システムの設計・施工を専門とする企業です。

太陽光発電業界において豊富な販売・施工実績を持ち、戸建住宅向けのシステム導入に強みを発揮しています。また、蓄電池やオール電化、HEMSなど、エネルギー関連の幅広い製品を取り扱っており、顧客の多様なニーズに対応しています。

大阪事業所では、地域密着型のサービスを提供し、顧客の生活スタイルや住環境に応じた最適なエネルギーソリューションを提案しています。

まとめ

停電時の備えとして蓄電池の導入を検討する際には、機能や設置環境、自立運転について理解しておくことが重要です。正しく設置され、充電状態が保たれていれば、停電時でも必要最低限の電力を確保することが可能です。

また、太陽光発電と併用することで、平常時の電気代削減にも効果があります。

反面、配線不良や施工ミスによっては十分に機能しないリスクもあるため、信頼できる施工業者の選定がポイントです。今後の災害リスクや電気代の上昇に備え、太陽光発電と蓄電池の併用を検討してみましょう。